リノベーションは、新築よりも低コストでオリジナルな住まいを実現できるというメリットがありますが、その反面、費用の相場がわかりにくいというデメリットもあります。
- 「リノベーションしたいけど、今の予算でどのくらいの事ができるのかな?」
- 「失敗しない業者の選び方が知りたい!」
- 「ローンは?いろいろな種類があって、どれが自分に合っているのかわからない・・・」
そんな方のために、こちらのページでは、リノベーションをするときに知っておきたい費用相場や業者選びのコツ、ローンの種類などをご紹介いたします。
リノベーションは、自分の理想の住まいを実現するチャンス! お金や時間をかけても、後悔しないようなリノベーションをするために、事前にしっかりと情報収集をしておきましょう。
こんにちは、この記事の監修は一級建築士の林です。
リノベーションを考えている方にとって、費用は最も気になるポイントの一つでしょう。しかし、リノベーションの費用は物件の広さや内容、業者によって大きく異なります。
そこで、この記事では、リノベーションの費用相場を徹底解説!また、リノベーションで使えるローンや業者選びのコツもご紹介していきます。予算内で理想のリノベーションを叶えるためのヒント探しのお手伝いができれば幸いです。
リノベーション費用の相場
まずは、費用相場を見ていきましょう。リノベーション費用は、物件の広さやリノベーション内容によって大きく変わります。
一般的に、物件の広さが大きいほど、リノベーション費用も高くなりますよ。
また、リノベーション内容によっても、工事の規模や工期、使用する素材や設備などに差が出るため、費用にも影響してくるんです。
物件の広さで見るリノベーション費用相場
中古住宅のリノベーションを考えた時、具体的にどの程度見込んでおけばよいのでしょうか。
フル
リノベーション |
既存の壁や床、設備などをすべて撤去して、間取りやデザインを自由に変更する |
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表層+設備
リノベーション |
既存の壁や床の表面を張り替え+キッチンや浴室などの設備交換 |
表層
リノベーション |
既存の壁や床の表面を張り替えるだけ |
の3つに分けて見ていきましょう。
マンションの費用相場
フルリノベーション 1㎡あたり:15~20万円
表層+設備 1㎡あたり:9~15万円
表層のみ 1㎡あたり:5~8万円
戸建て住宅の費用相場
フルリノベーション 1㎡あたり:10~25万円
表層+設備 1㎡あたり:10~20万円
表層のみ 1㎡あたり:5~8万円
※これらの費用はあくまで目安であり、リノベーション会社や地域、工事の内容や品質によって異なります。
戸建て住宅の場合、内部+外装の改修工事などが加わるケースがあるため、費用相場の振れ幅が大きくなっています。
マンションの費用相場は戸建て程ではないものの、同じ60m²でも600万円台から1200万円台までの振れ幅がありますね。なぜこのような差ができるのでしょうか?
リノベーション費用の内訳
「リノベーション費用に大きな差が出るのはなぜ?」を理解するために、費用の内訳を見てみましょう。
リノベーション費用は大きく分けて4つの項目に分かれます。
- 工事原価:リノベーションに必要な材料や設備の費用と、工事を行う職人さんの人件費のこと。高級な材料や設備を選ぶと、費用は高くなります。工事の規模や難易度、工期によっても変わります。
- 現場管理費:リノベーションのプランニングや設計図の作成、工事の管理や監督にかかる費用のこと。現場監督の人件費や図面制作費、工事保険や消費税などが含まれます。
- 諸経費:リノベーションに伴うその他の費用のこと。工事車両の駐車料金や廃棄物の処分費用、保険料などがが含まれます。費用の相場は、見積金額の10~15%程度が目安です。
- 会社の利益:リノベーション会社が工事を行うことで得られる利益のこと。見積書には明記されないことが多いですが、工事費に含まれています。利益率はリノベーション会社によって異なりますが、一般的には10~20%程度と言われています。
リノベーション費用に影響するポイント
次にリノベーション費用に影響しているポイントを6つ解説していきます。
1.物件の広さ | 施工面積が広ければ、その分の材料費も増え、作業量も増えるのでコストがかかります |
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2.物件の立地条件、階数 | 住宅密集地や繁華街にある場合、建物の近くに作業車や運搬車が停められず、人の手で資材や道具、解体材などを車まで運ぶ必要があります。
高層階の場合も資材運搬のための費用がアップ。 また、狭小地では作業するスペースが十分に確保できず、作業効率が悪くなり工期が長引き、コストにも影響を及ぼすことも。 |
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3.今までのメンテナンス状況 | 新築から年月が経っている場合、どれくらい家のメンテナンスをしてきたかによってリノベーション費用が変わります。メンテナンスがあまりされていない住宅は、大抵の場合リノベーション費用がかさんでしまいます。 |
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4.設備や内装材のグレード | 高価な設備機器や仕上げ材を選べばトータルコストはアップ!リーズナブルなものを選べばコストダウンできます。 |
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5.大幅な間取りの変更 | 間取りを大幅に変更する場合は、既存の壁を解体して新たに造作します。
また、水まわりを移動する場合は給排水管や換気扇、電気配線をやりかえる必要があるため、その分の費用もプラス。 |
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6.地域 |
地域によって材料費や職人さんの工賃が異なります。 |
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参考例からみる価格の目安
それでは、具体的にイメージするためにいくつか参考例を見てみましょう。
和モダンな空間にリノベーション
※イメージ画像
費用 | 約750万円 | 面積 | 70㎡ | 間取り | 2LDK |
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マンションの表層+設備のリノベーション。
和室を残して、リビングやキッチンはモダンに仕上げています。
壁は白と黒でシンプルに。和室は畳や障子を新調し、床の間や照明で和の雰囲気を演出。
キッチンは黒いシンクでアクセントをつけ、カウンターは木製にすることで、和とモダンを融合させています。
インダストリアルな空間にリノベーション
※イメージ画像
費用 | 約850万円 | 面積 | 80㎡ | 間取り | 3LDK |
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マンションの表層+設備のリノベーション。
配管やダクトなどを露出させ、壁はレンガやタイルでアクセントをつけています。
北欧風のナチュラルな空間にリノベーション
※イメージ画像
費用 | 約900万円 | 面積 | 85㎡ | 間取り | 2LDK |
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木造住宅の表層+設備のリノベーション。
自然の温かみや明るさを感じられるように、壁や床は白とナチュラルカラーに。
木製やファブリックの家具を使った、居心地の良い空間です。
ミニマリストな空間にリノベーション
※イメージ画像
費用 | 約1500万円 | 面積 | 110㎡ | 間取り | 3LDK |
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木造住宅のフルリノベーション。
断熱性能をアップさせるリノベーションもした場合です。
物を極力減らして、シンプルで快適な空間。リビングやキッチンは必要最低限の家具や小物を置き、余計なものは収納棚の中へ。
窓からの光を最大限に取り入れた、広く清潔な空間です。
予算内で理想のリノベーションを叶えるには
ここからは、予算内で理想のリノベーションを叶える方法を解説していきます。
「予算オーバーしてしまったらどうする?」
「そもそも予算オーバーしないようにするための方法はないの!?」
そんな時は以下の3つのポイントに注意することが大切です。
- 理想のイメージをしっかり固める
- こだわりたい部分に優先順位をつける
- リノベーションに適した中古住宅を選ぶ
理想のイメージをしっかり固める
リノベーション費用は「どんな家にしたいか」によって変わってきます。
やりたいことが明確になれば、大体の予算も予測しやすくなりますよね。住み始めたい希望の時期もあると思います。
どのくらいの費用がかかるかを正確に知る方法は、リノベーション業者に相談し、見積りを取ってみることです。
「リノベーションでやりたいこと」を遠慮なく担当者に伝えましょう。
イメージが固まらないまま見積りを取ると、後からやりたいことがどんどん出てきて予算オーバーになるケースが多いです。
どんな間取りにしたいか、どんな設備を取り入れたいかなど、リノベーションでやりたいことやイメージを書き出してみましょう。
見積りをお願いするときに、情報を伝え漏れる心配がなくなるのでおすすめです!
また、見積りは、複数のリフォーム会社から取って比較してみましょう。
こだわりたい部分に優先順位をつける
リノベーションでは、自分たちの好みやライフスタイルに合わせて、キッチンやバスルーム、リビングや寝室など、さまざまな部分にこだわりたいと思うことでしょう。
しかし、すべてにこだわると、費用がかさむだけでなく、統一感やバランスが失われることも。
予算内で理想のリノベーションを叶えるには、こだわりたい部分に優先順位をつけて、必要な部分だけにお金をかけることが重要です。
例えば、キッチンは料理が好きなので高級な設備を選ぶが、バスルームはシンプルなもので十分というように、自分たちのライフスタイルに合わせて、こだわりのポイントを絞りましょう。
やりたいことを全て書き出してみてから、優先順位を1・2・3・・・とメモしておくと分かりやすいですね。
リノベーションに適した中古住宅を選ぶ
これから中古の一戸建てや中古マンションを購入する方は、リノベーションに適した物件を選ぶことが費用節約につながります。
リノベーションに適した中古住宅を選ぶことで、工事の範囲や難易度を減らすことができるんです。
例えば、
- 既存間取りが理想に近い
- 間取り変更しやすい構造
- 管理規約や法規制が厳しくない
- 耐震補強が必要ない
- 雨漏れや漏水など劣化が少ない
- 材料や廃材の搬入出しやすい
などがポイントになってきます!
業者の選び方
では、どこの業者に頼めばよいのでしょうか。
リノベーション業者を選ぶ際には、以下の3つのポイントを参考にしてみてください。
- リノベーション業者の規模
- 対応は親切で丁寧か
- 工事後の保証やアフターサービスが充実しているか
リノベーション業者の規模
リノベーション業者は、展開規模やサービスの種類、得意分野などによって様々な特徴があります。
業者の信頼性や技術力を判断する材料として、施工実績や施工事例、第三者の評価や口コミなども参考にしましょう。
施工事例は、工事の内容だけではなく、対象物件の築年数や工事費用・平米数、工事期間など、自分たちの理想像に近い施工事例があるかどうかも見ると良いですよ。
それでは、 リノベーション業者の展開規模による特徴をメリット・デメリットで比較して見ていきます。
全国展開している大手のリノベーション業者
メリット |
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デメリット |
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エリア展開している中堅のリノベーション業者
メリット |
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デメリット |
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地域密着型で小規模のリノベーション業者
メリット |
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デメリット |
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対応は親切で丁寧か
打ち合わせやプランニングなどの対応が親切で丁寧かどうかをチェックしましょう。
自分たちの希望や予算に応じた提案が受けられるか、コミュニケーションがスムーズに取れるか、納得のいく見積りと説明だったかなど、業者との相性も大切です。
工事後の保証やアフターサービスが充実しているか
リノベーションの保証期間は、施工会社や設備の種類によって異なりますが、一般的な目安は以下のような保証期間です。
- 施工会社の保証:躯体などの重要な部分は10年、給排水配管は2年、内装仕上げは1年
- 設備のメーカー保証:システムキッチンやユニットバスなどは1~2年
- リフォーム瑕疵(かし)保険:構造耐力上主要な部分と雨水の侵入を防止する部分は5年、その他の箇所は1年
リノベーションは、工事が終わった後も、不具合やトラブルが発生する可能性があります。
その際に、業者が迅速に対応してくれるか、保証期間や内容はどのようになっているか、アフターケアやメンテナンスのサービスはあるかなど、事前に確認しておくと安心ですね。
ローンの種類
最後はリノベーションに使えるローンについてです。
リノベーション用ローンには、大きく分けてリフォームローンと住宅ローンの2種類があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを比較してみましょう。
自宅のリノベーションはリフォームローン
リフォームローンは、リフォームやリノベーションに特化したローンで、自宅のリノベーションにも、中古住宅の購入とリノベーションにも利用できます。
有担保型と無担保型がありますが、無担保型が多く、自宅に抵当権を設定する必要がありません。
借入限度額は500~1,000万円程度で、返済期間は最長でも15年です。金利は年2~4%と高めです。
メリット |
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デメリット |
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中古物件購入+リノベーションには住宅ローン
住宅ローンは、住宅の新築や購入に利用するローンで、リノベーションの費用も合わせて借り入れできます。
借入限度額は最大1億円程度で、返済期間は35年と長いです。金利は全期間固定型で1%台、変動型で1%を切るほどの低金利です。
ただし、自宅に抵当権を設定する必要があり、審査も厳しいです。
メリット |
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デメリット |
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以上のように、リフォームローンと住宅ローンにはそれぞれメリット・デメリットがあります。
どちらのローンを使うか選ぶ際には、以下のポイントを参考に検討してみてください。
- リノベーションの規模や希望額に応じて、借入限度額や返済期間を考慮する
- 金利や返済方法について、自分のライフプランや家計に合わせて選択する
- リノベーションの内容や物件の状態に応じて、技術基準や耐震性などの要件を確認する
- 減税や補助金などの優遇制度を利用できるかどうかを調べる
終わりに
まずは物件の広さから費用の目安を知って、だいたいの予算をイメージしてください。
やりたいことを全て書き出したら優先順位をつけることも忘れずに。
具体的な費用の見積もりは、専門業者に相談し、デザイナーと一緒に考えながらこだわりの空間を実現しましょう。